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LoRa親子通信を行うことでデジタルデバイドを克服し、飼料流通の合理化を促進

YEデジタル、電波の弱い地域でも“飼料残量の見える化“を実現

2023年02月28日

株式会社YE DIGITAL(本社:北九州市小倉北区 代表取締役社長:玉井裕治、以下、YEデジタル)は、この度、飼料タンク残量管理システム「Milfee」のLoRa親子通信モデルを2023年3月より提供を開始いたします。これにより、携帯電話回線(LTE電波)が弱く、IoT導入を諦めていた地域でも“飼料残量の見える化”を実現します。

畜産業界の抱える課題

鶏や豚、牛などを肥育する農家では、飼料を通常4〜6mあるタンクで保管しており、タンクにはしごで上り、目で残量を確認しています。雨の日も雪の日もタンクに上る作業は農家にとって大きな負担になるほか、目視による管理では正確性を欠くため、飼料配送を担うメーカーや配送業者では、在庫切れによる突然の注文・配送が発生してしまい、配送効率の改善につながらないという問題があります。人手不足が課題となっている今、飼料流通の最適化・合理化は畜産業界にとって喫緊の課題です。

IoTで見える化実現も、新たに見えてきた課題 ―デジタルデバイド

そこでYEデジタルは、タンク内の飼料残量を計測し、携帯電話回線を用いてクラウド上で一括管理するMilfeeを2022年4月にリリース。従来難しいと言われていたマッシュ(粉体)状の飼料も精度高く計測することができるとご好評いただき、すでに200以上の農場に設置が進んでいます。

ところが設置が進むにつれ、農場は匂いなどの問題により山奥に設置されることが多いため、約2割の農場で携帯電話回線がつながらない(※)ことが分かったのです。回線環境が整っていない場所が残ることは、効率化が図れないことを意味します。YEデジタルは飼料流通の合理化実現には、デジタルデバイドを克服し、取り残されるタンクを減らす必要があると考え、携帯電話回線エリア外でも利用できるモデルの開発に着手しました。

※YEデジタル調べ

携帯電話回線(LTE電波)のつながりにくい地域でも飼料残量の見える化を実現

今回、インターネットが敷設されている事務所に「親機」を設置し、タンクに設置した「子機」と親子通信を行うことで、携帯電話回線がつながりにくい地域のIoT化を実現し、その親機⇔子機間の通信にはLoRaを選定しました。

Milfee LoRa親子通信モデル設置イメージ

LoRa採用の理由

LoRaはLTE-Mと同様にLPWA(Low Power Wide Area)通信の一種ですが、以下を特徴とします。

  • 基地局を利用者自身が設置できる「親機⇔子機通信方式」
    ・LTE-M:携帯電話がつながらない地域では活用できない。
    ・LoRa:親機を設置することで、携帯電話がつながりにくい地域でも通信が可能。
  • Wi-Fiと比較して通信距離が長い
    Wi-Fiの通信距離が数10mであるのに比べ、LoRaは見通しの良いところであれば数10km程度の通信が可能。当社実証実験では、農場で200~400m程度の通信を確認。(地形、障害物等の環境によって変動)
  • 低消費電力
    電池駆動で長期稼働が可能。タンクに設置する子機は電池を用いることで、電源工事をすることなく設置可能。
Milfee LoRa親子通信モデルは、実証実験として、携帯電話回線がつながりにくい12農場でタンク内の子機からクラウドまでの通信確認にご協力頂いており、農家の方から「電波が届かないうちの農場でも、ようやくMilfeeを使えるようになった!」と喜びの声をいただいております。このように地域格差を超えてMilfeeをご活用いただくことで畜産業界の業務効率化に寄与できるよう、初年度3000台販売を目標に、進めてまいります。

参考資料

飼料タンク残量管理システム「Milfee」

Milfee端末からLTE-M回線※を用いて直接クラウドへデータを送信することでMilfeeサービスを利用。受注システムや育成管理システムなど、外部システムと自動連携をすることで、既存のシステムへ飼料残量などの情報を受け渡すことができます。

※LTE-M回線:LTE回線を活用したLPWA通信の一つで、機器同士(M2M)で使用することを想定した通信技術。

システム構成イメージ

「Milfee」導入のメリット

畜産農家
  • タンク残量の巡回確認不要
  • 急な注文の削減、飼料の枯渇防止
飼料メーカー
  • 原料の調達、製造時期の最適化
  • 販売機会損失の低減
配送業者
  • 飼料の計画的配送によるコスト削減
  • 配送者の省人化